2025/5/16
先進的なハイコンテントスクリーニング技術による研究者の支援
Shawn Alvarado博士が語る業界の深層
Shawn博士の仕事に対する姿勢は、『常に顧客を第一に考える』という信念に支えられています。
彼女は、顧客の研究課題の解決を支援することに情熱を注いでおり、科学への情熱を共有する人々との協働を心から楽しんでいます。それもそのはず、彼女自身が『この仕事の一番の魅力は“人”だ』と語っているほどです。
本記事は、専門家たちがライフサイエンスの未来に備えるために必要な視点を、クイックな反応と深い洞察の両面から語る『Insider Insights』シリーズの一環としてお届けします。Shawn博士は、モレキュラーデバイスでの9年間にわたる経験の中で目の当たりにしてきたハイコンテントスクリーニング技術の進化に誇りを持っており、その無限の可能性に大きな期待を寄せています。
高度なハイコンテントスクリーニング技術の発展は、顧客の日常業務にどのような影響や改善をもたらしていますか?
当社のハイコンテント解析ソリューションでは、統合されたAI解析により、研究者は生細胞の状態で2Dおよび3D細胞を可視化・定量化し、薬剤によって誘導される多様な表現型を識別することが可能になりました。
お客様がモレキュラーデバイスにハイコンテントスクリーニング装置を求めて来られるのは、多くの場合、ワークフローに関する課題や悩みを抱えているからです。たとえば、サンプル処理にかかる時間や、画像の解像度に関する問題が挙げられます。目的の情報を十分に取得できなかったり、必要なスピードでスクリーニングを進められなかったりすると、データ収集に直接的な支障が生じます。
当社の解析パッケージは、AIモデルを活用して画像取得とバッチ解析を自動化することで、ハイスループットスクリーニングを可能にします。これにより、研究者は自身の問いに対して、より迅速かつ正確な答えを得ることができます。
私達の顧客は細胞モデルを用いて非常に具体的な問いを立て、そのデータから洞察や答えを得ることを期待しています。IN Carta画像解析ソフトウェアに SINAPやPhenoglyphssといったモジュールを統合することで、AIによる解析が大きな進化を遂げました。従来は解析アルゴリズムが存在しなかったようなサンプルでも、独自の解析パイプラインを構築することなく解析が可能になりました。これにより、2Dおよび3Dの生細胞を観察・定量し、薬剤が異なる表現型に与える影響を理解することができます。さらに、当社の解析パッケージは、AIモデルを活用して画像取得とバッチ解析を自動化することで、ハイスループットスクリーニングを実現し、研究者が自身の問いに対して、より迅速かつ正確な答えを得ることを可能にしています。
ImageXpress HCS.aiハイコンテントスクリーニングシステムは、これらすべてをシームレスなインターフェースに統合しています。ハイコンテントイメージャーを簡単にセットアップし、IN Carta画像解析ソフトウェアでバッチ解析をシームレスに開始することができます。最近発売されたこのスクリーニングシステムは、様々なアプリケーションの感度とスピードを向上させました。以前は、導入にあたって専門的なトレーニングや現場にスーパーユーザーが必要であることが障壁となっていました。しかし現在では、簡単な概要を把握するだけで誰でもすぐに使えるようになっており、日常的に研究を行う方々にとって、より身近で使いやすいツールとなっています。
ImageXpress HCS.aiハイコンテントイメージングシステムでイメージングしたスフェロイドをIN Carta画像解析ソフトウェアで表示。AI対応画像解析 ポスター付き次世代ハイコンテントイメージングプラットフォームを使用した高速表現型プロファイリングから得られた画像 。
このような進展が、研究にどのような価値やインパクトをもたらすとお考えですか?
ハイコンテントスクリーニング技術をより使いやすくすることで、より多くの研究者がその利点を活用しやすくなります。
私がこの技術に魅力を感じるのは、人々が課題を解決するために技術革新を進めているからです。より良く、より速く、より低コストにするために開発されたソリューションは、広く活用されてこそ真価を発揮します。しかし、使いこなすのが難しければ、当然ながら導入は進みません。ハイコンテントスクリーニングが創薬に大きな価値をもたらしているのを目の当たりにしてきましたし、イメージングの豊富な経験がなくても、より多くの人がこの技術を活用できるようになったことに、非常にワクワクしています。
最終的に研究者が求めているのは、自身の問いにより早く答えを見つけ、得られたデータを世界と共有し、うまくいかない原因を正確に把握することです。私たちは、その目標の達成を全力でサポートしたいと考えています。
使いやすいMetaXpress Acquireハイコンテント画像取得・解析ソフトウェアは、ユーザーはワークフローを自立的に実行できるようになりました。低倍率対物レンズで生物学的オブジェクトを特定し、その後、高倍率での撮像とリアルタイム画像解析を行うことが可能です。これらの大腸がんオルガノイド画像は、 『AI解析ツールと次世代ハイコンテントスクリーニングプラットフォームを活用した3Dスクリーニングアッセイデータの向上』というポスター発表に基づいています。
どのようなトレンドや顧客からのフィードバックが、この分野でのイノベーションの原動力となったのでしょうか?
テクノロジーを使いやすくすることは非常に重要です。特に、既存の手法やラボでの慣れたワークフローに精通している研究者にとっては、その導入のしやすさが鍵となります。
モレキュラーデバイスでのこの9年間を通じて、ユーザーが求めているのは“すぐに使える簡便さ”と“柔軟性”の両立であることを実感してきました。柔軟すぎると使いづらくなり、使いやすさを追求しすぎると柔軟性が失われる——その境界線の絶妙なバランスが重要です。新しいImageXpress HCS.aiハイコンテントスクリーニングシステムでは、その理想的なバランスを実現できたと感じています。MetaXpress Acquireハイコンテント画像取得ソフトウェアの優れた点はそのままに、柔軟にパラメータを調整できる機能は維持しつつ、インターフェースは刷新され、より直感的で使いやすくなりました。30年近くの歴史を持つソフトウェアのインターフェースを現代化し、革新するのは容易ではありませんが、私たちはその挑戦に真正面から取り組みました。
私達は、次世代技術の開発と、特に確立された手法に慣れ親しんだ科学者にとっての使いやすさの確保とのバランスを取る必要性を強く認識しています。
高度な技術へのニーズは高まっていますが、使い方が複雑すぎると、導入をためらう研究者も少なくありません。特に、既存の手法に慣れ親しんだ科学者にとっては、次世代技術の開発と使いやすさの両立が極めて重要です。私たちはそのバランスを常に意識しながら製品開発に取り組んでいます。
シンプルにアップグレードされたMetaXpress Acquireハイコンテント画像取得ソフトウェア は、複雑なワークフローを効率化します。新規ユーザーはすぐに使い始めることができ、上級ユーザーは柔軟性を活用して最適化されたプロトコールを作成することができます。
現在、研究者が直面している一般的な課題にはどのようなものがあり、それに対して先進的なハイコンテントスクリーニング技術はどのような新たな可能性を提供できるのでしょうか?
ImageXpress HCS.ai ハイコンテントスクリーニングシステムの強みは、その高い汎用性にあります。幅広いアプリケーションに対応でき、複数のユーザーによる利用にも柔軟に対応可能です。
現在、多くの研究者が研究資金の確保に課題を抱えています。ImageXpress HCS.ai ハイコンテントスクリーニングシステムは、初期投資こそ必要ですが、幅広いアプリケーションに対応し、複数のユーザーで共有・活用できる点が大きな利点です。
当社のシステムは、他機器との統合や拡張が可能で、完全自動化された“ウォークアウェイ”ソリューションを提供します。これにより、広いスペースや多くのリソースを必要とせずに、研究者がこの技術を導入し、その機能を最大限に活用しやすくなっています。
スペースの確保は、多くのお客様にとって大きな課題です。特にボストンやサンフランシスコのような都市部では、研究スペースが非常に限られています。他のシステムと比べて、当社の装置はラボのベンチ上に設置できるため、導入のハードルが低く、より多くの研究者にとって利用しやすいものとなっています。私が以前担当していたベイエリアや米国北西部の地域でも、特に新しい研究施設では、限られたスペースを最大限に活用する必要があり、この課題は非常に深刻でした。当社のベンチトップ型システムは、まさにそのようなニーズに応えるソリューションです。
たとえば製薬分野でハイスループットスクリーニングを行っている研究者にとっても、当社のシステムは他機器との統合や拡張が可能で、完全自動化された“ウォークアウェイ”ソリューションを提供します。これにより、広いスペースや多くのリソースを必要とせずに、技術を導入し、その機能を最大限に活用することが容易になります。
このベンチトップ型 ImageXpress HCS.aiハイコンテントスクリーニングシステムは 、細胞モデルの鮮明な画像を取得し、使いやすいソフトウェアで詳細なデータを収集、さらにAI解析によって有用なインサイトを提供します。
先進的なハイコンテントスクリーニング技術がその真価を発揮した世界では、次にどのような展開が起こるとお考えですか?
私達は、まだ引き出せる可能性があることを認識しており、進化と革新を続けながら、お客様のニーズに応える製品・技術をご提供し続けています。
先進的なハイコンテントスクリーニング技術がその真価を発揮した世界では、さまざまなプラットフォームがシームレスに統合され、これまで想像もしなかった形で研究の問いに答えられるようになると私は考えています。研究者は、あらゆるデータを統合し、多角的な視点から包括的な答えを導き出すためのアクセス性が飛躍的に向上するでしょう。
現在は、複数の機器を連携させる必要があるために困難が伴いますが、ハイコンテントスクリーニングは他の手法と組み合わせて問いに答えるための有力な手段の一つです。将来的には、こうしたデータがより意味のある形で整理され、簡単にアクセスできるようになり、私たちは今後も進化と革新を続けながら、研究者の発見を支えるために必要なソリューションをご提供し続けていきます。
Shawnによるさらなる見解については、 『Expert Perspectives on 3D Biology』に掲載された彼女の執筆記事をご覧ください。
Shawn Alvarado博士
モレキュラーデバイスで細胞ワークフロー自動化のナショナルセールスマネージャーを務めるShawnは、細胞ワークフローを自動化し、研究を加速させる革新的なシステムを新規顧客に紹介しています。
彼女は2016年にモレキュラーデバイスに入社し、南カリフォルニア大学での博士研究員を経て、BioResearchフィールドアプリケーションサイエンティストとしてキャリアをスタートしました。Shawnはカリフォルニア大学アーバイン校にて、生物科学(神経生物学および行動学)で博士号を取得しています。