ウェスタンブロットとは?

ウェスタンブロットは、タンパク質の検出と定量に使われる一般的な方法です。細胞溶解物などの複雑なタンパク質の混合物から、対象とする特定のタンパク質を分離して同定できます。ウェスタンブロットは、診断、バイオテクノロジー、分子生物学、プロテオミクスなどに適用されており、細胞のタンパク質発現レベルならびに大きさや他の性質の変化の評価において、幅広い信頼を得ています。

ウェスタンブロット法

使用する二次抗体によって、考慮すべきウェスタンブロット法がいくつかあります。標的タンパク質の検出は、比色分析、化学発光、または蛍光により行われます。これらの方法について以下に記載します。それぞれの方法には検出用に異なる機器が必要です。例えば、化学発光はx線フィルムまたはデジタルイメージング機器で検出でき、蛍光二次抗体には蛍光イメージャーが必要です。各タイプの検出法には利点と欠点があり、方法選択の際に考慮する必要があります。

ScanLater™ウェスタンブロット検出システムに導入したもう1つの方法では、マルチモードマイクロプレートリーダープラットフォームで、これまでに類を見ないウェスタンブロット検出が行えます。この基質フリーのアッセイを利用すると、ウェスタンブロットやELISA、その他のアプリケーションを一台のリーダーに集約して、通常の化学発光アッセイと同等の感度を得ることができます。以下のお勧めのアプリケーションノートに詳細を示します。

ScanLater Western Blot Detection Cartridge

ScanLater™ウェスタンブロット検出システムでは、マイクロプレートリーダーで、ウェスタンブロット検出が行えます。

ウェスタンブロットのアッセイワークフロー

通常のウェスタンブロットアッセイに使われるステップは以下の通りです。

Western blot assay workflow
  1. 電気泳動 – まず、ゲル電気泳動で、タンパク質を大きさによって分離します。
  2. 転写 – タンパク質を、ブロッティングメンブレン(通常はニトロセルロース製またはPVDF製)に転写します。これを、対象のタンパク質に特異的な一次抗体を用いて精査します。
  3. ブロッキングバッファーでブロッキング – 一次抗体(次の段階)が膜そのものに結合しないようにします。
  4. 一次抗体と共にインキュベート – 一次抗体を標的タンパク質に結合させます。
  5. ウォッシュバッファーで洗浄 – 結合していない一次抗体を洗い流します。
  6. 二次抗体と共にインキュベート – 一次抗体を認識して結合する二次抗体を加えます。この二次抗体は酵素または他の物質とコンジュゲートされており、ブロット上にバンドとして現れる対象タンパク質を検出できます。
  7. ウォッシュバッファーで洗浄 – 結合していない二次抗体を洗い流します。
  8. 選択した方法/化学的作用を用いて検出 – 標的タンパク質は、用いた二次抗体に応じて、比色分析、蛍光、または発光法で検出できます。

比色分析ウェスタンブロット

Colorimetric Western Blot

比色分析ウェスタンブロット法では、酵素をコンジュゲートした二次抗体と色素生産性の基質を使用して検出を行います。

利点:

  • 特別な機器が不要です。

欠点:

  • 感度に限界があります(pgレベル)。
  • 他の標的を検討するためにブロットをストリッピングしてリプローブすることはできません。

化学発光ウェスタンブロット

Chemiluminescent Western Blot

化学発光ウェスタンブロットでは、酵素をコンジュゲートした二次抗体と発光基質を使用します。結果はX線フィルムと暗室装置またはデジタルイメージングシステムを用いて検出します。

利点:

  • 感度(fgレベル)
  • ブロットをストリッピングしてリプローブできます。

欠点:

  • 結果が非線形になる場合があります。
  • シグナルは短寿命です。
  • 検出に必要な機器が高価で、スペースを取ることがあります。

蛍光ウェスタンブロット

Fluorescent Western Blot

蛍光ウェスタンブロットは、蛍光体をコンジュゲートした二次抗体を使用するため、基質は不要です。結果の検出には蛍光イメージャーが必要です。

利点:

  • 比色分析や発光法に比べてダイナミックレンジが広く、線形性が良好です。
  • 異なる蛍光体を用いてマルチプレックスできます。

欠点:

  • 化学発光よりも感度が低い場合があります。
  • 専用の蛍光イメージングシステムが必要です。

ScanLaterウェスタンブロット検出システム

ScanLater Western Blot Detection System

ScanLater™ ウェスタンブロット検出システムは、時間分解蛍光体をコンジュゲートした二次抗体を用いており、蛍光と化学発光法の利点を併せ持っています。

  • 検出に基質は不要です。
  • 数ヵ月以上シグナルが安定しています。
  • 感度はピコグラム未満です。
  • 広いダイナミックレンジ。

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ScanLaterウェスタンブロット検出システムを用いたタンパク質の検出と定量

Protein Detection ScanLater Western Blot Detection

タンパク質の検出は、現在の製薬および臨床研究において重要であり、ウェスタンブロットは、この目的に使用されるもっとも一般的な方法の1つです。ウェスタンブロットメンブレン上のタンパク質の検出には、蛍光や化学発光などさまざまな技術が使用されます。しかし、それぞれの技術には欠点があり、定量、精度、ダイナミックレンジの改善が継続して求められています。

このアプリケーションノートでは、バックグラウンド低減によるダイナミックレンジの拡張、ならびに経時的な検出の安定性および反復測定での検出の安定性について説明します。また、Scanlaterウェスタンブロットシステムと化学発光法を比較し、感度の改善について示します。

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イメージングとウェスタンブロット検出によりCRISPR編集細胞を検証する

Validate CRISPR-Cells using Imaging and Western Blot Detection

ゲノム編集は遺伝子発現とタンパク質機能の研究に広く使用されていますが、これらの方法の多くは手間がかかり正確ではありません1。CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)/Cas9 システムは、精度が高く使いやすいため、遺伝子編集に非常によく使用されるツールとなっています2。

ここでは、SpectraMax i3x マルチモードマイクロプレートリーダーおよびScanLaterウェスタンブロット検出システムを使用して、CRISPR/Cas9ゲノム編集の検証を行う方法について説明します。

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ウェルからウェスタンへ:細胞ヒートショック反応の検討

Wells to Westerns: Cellular Heat Shock Response

細胞応答の検討には、イメージング、細胞ベースの生存能および増殖アッセイ、タンパク質発現の変化を検討するためのウェスタンブロットなど、情報の収集のために複数のアプローチが必要な場合があります。多くの場合、必要な結果を収集するために複数の機器プラットフォームが必要であり、その過程で複数のソフトウェアパッケージを学ばねばならないこともあります。

このアプリケーションノートでは、単一の機器、SpectraMax® i3マルチモード検出プラットフォームを用いて、複数の関連した細胞パラメータのデータを収集する方法について説明します。

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ScanLaterウェスタンブロットタンパク質ラダーを用いたタンパク質分子量の推定

Estimation of Protein Molecular Weights

ScanLater™ウェスタンブロットタンパク質ラダーは、ScanLater™ウェスタンブロット検出システムに不可欠な要素です。このタンパク質ラダーの主な用途としては、タンパク質分子量の推定、 ゲル電気泳動の可視化、およびゲルからブロットへの転写プロセスの評価などがあります。

用途に対して最適化した電気泳動およびブロッティングワークフローを行う方法について知りたい場合は以下をご覧ください。

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ユーロピウム標識タンパク質に基づくタンパク質検出

Protein Detection on Europium Labeled Proteins

プレートリーダーを用いたユーロピウム標識タンパク質に基づくウェスタンブロットタンパク質検出および定量

ここでは、SpectraMax®マルチモードマイクロプレートリーダーに組み込まれているウェスタンブロット解析の新しいシステムについて報告します。メンブレンを、ユーロピウム標識二次抗体または対象のタンパク質を標識するストレプトアビジンを用いて調べます。ユーロピウム(Eu)は蛍光寿命が長く、1 msecレベルであり、検出は時間分解蛍光(TRF)検出モードで行います。これにより、自家蛍光や他の原因による短寿命の発光によるバックグラウンドを大きく低減できます。