吸光度とは?

吸光度(A)は、光学密度(OD)とも呼ばれ、溶液に吸収される光の量のことを指します。透過度は、溶液を通過する光の量です。吸光度と透過率は分光測定でよく使用され、以下で表されます。

吸光度の式

A = Log10(I0/I)

I0は入射光強度、Iはサンプルを透過した後の光の強度です。

T = I/I0 および %T = 100 (T)

透過率から吸光度を算出する式は以下の通りです。

A = 2 – log10 (%T)

ランベルト・ベールの法則を用いて濃度を決定する

サンプルの濃度は、ランベルト・ベールの法則を用いて、吸光度から算出できます。ランベルト・ベールの法則は以下のように示されます。

A = ε * c * p

εはモル吸光係数(L mol-1 cm-1)、cは溶液中の溶質の濃度(mol/L)、pはサンプルの経路長(cm)で、たとえばキュベットでは1 cmです。

マイクロプレートでの紫外線(UV)測定は、モレキュラーデバイスが初めてUV測定可能なマイクロプレートリーダーを導入したことで可能になりました。それ以来、DNA、RNA、タンパク質のマイクロプレート測定が可能となり、一般に広く普及しました。吸光度の測定方法と、吸光度を利用したいくつかの主要なアプリケーションの詳細を見ていきましょう。

Absorbance-illustration

オンデマンドウェビナー

吸光度をベースとしたアッセイアプリケーションを探索する:ウイルスから大麻研究まで

SpectraMax®マイクロプレートリーダーとSoftMax® Proソフトウェアを用いた吸光測定では、マイクロプレートやキュベット形式でサンプルの光学密度を測定できます。ソフトウェアの強力な解析ツールにより、標準曲線と算出データが作成されます。GMP/GLP準拠施設用には、このシステムにSoftMax Pro GxPコンプライアンスソフトウェアが標準装備されています。

主な要点:

  • 吸光検出はどのように行われるか?
  • ELISAでイムノグロブリン(Ig)を検出する – 感染性疾患と免疫反応を調査する様々な方法
  • ビールとワインの吸光測定解析を簡素化する
  • ELISAを用いて大麻中の総アフラトキシンを測定する
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吸光検出はどのように行われるか?

How does absorbance detection work?

分光光度計と吸光度プレートリーダーは、光がどの程度サンプルに吸収されるかを測定します。紫外(UV)域の光を検出できるマイクロプレートリーダーを用いると、核酸(DNAおよびRNA)やタンパク質の濃度を直接測定できます。サンプルを標識する必要はありません。測定する物質に応じた特定波長の光をサンプルに透過させ、マイクロプレートウェルの反対側にある検出器で、もとの光がウェル内のサンプルにどの程度吸収されたかを測定します。

吸光度は何を用いて測定するか?

What is absorbance measured in?

吸光度は、分光光度計マイクロプレートリーダーを使用して測定します。これらは特定の波長の光をサンプルを介して照射し、サンプルが吸収した光の量を測定する機器です。

分光光度計とプレートリーダーの比較

標準的な分光光度計は一度に1サンプルの吸光を測定します。サンプルは通常、キュベットに入れて、光を水平に通過させます。吸光プレートリーダーは処理量が多く、ウェルに光を垂直に通過させることで、マイクロプレート(通常は96ウェル、384ウェルの場合もある)のサンプルの吸光を測定できます。

吸光度プレートリーダーについて詳細を見る  >>

吸光ELISAプロトコルを実行する方法は?

How to run an absorbance ELISA protocol?

ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)は、サンプル内の抗原を定量的に検出するために使用する方法です。ほとんどのELISAはマイクロプレートで行われ、マイクロプレートのウェルの底が固相表面となり、対象とする抗原が、直接的にまたは抗体を介して結合します。基質と反応すると発色した溶液を生成する酵素コンジュゲートを用いて、抗原を検出します。マイクロプレートウォッシャーは、ウェル内の非特異的な非結合物質を洗い流すために使用し、そして吸光ELISAプレートリーダーで、標的抗原が存在する場合に生じる色の変化を検出します。

ELISAについて詳細を見る >>

迷光は光学密度(OD)測定にどのように影響するか?

Optical Density (OD) Reading

迷光は、機器の検出器に到達する望ましくない光のことを示す一般的な用語です。迷光が吸光測定に及ぼす影響としてよくみられるのは、想定外に低いODです。測定された吸光度がサンプルの真の吸光度よりも低くなります。その影響は通常、直線性に現れ、ODを2.0~2.5以上で測定する際に最も大きくなります。迷光はユーザーが補正できず、通常はユーザーのミスにより生じるものではありません。可能性のある原因としては、劣化した励起フィルターなどの光学的要素が考えられます。通常、分光光度計および吸光度プレートリーダーには、迷光を最低限に抑える機能があります。

細胞生存能、細胞増殖、細胞毒性アッセイ(MTT、XTT、MTS)

Cell Viability, Cell Proliferation, Cytotoxicity Assays

細胞増殖と細胞毒性の評価には、MTT、XTT、MTSなどのテトラゾリウム塩を用いた比色アッセイが使用されています。例えばMTTアッセイは、生細胞に存在する酵素によるMTTの還元によって、吸光度を測定することで定量化できる青色のホルマザン生成物が形成されます。適切なアッセイは、望ましいワークフローと所要時間をもとに選択されます。

これらの方法についての詳細は、アプリケーションノートをご覧ください:

ELISA/イムノアッセイ(抗原、抗体、サイトカインなどの定量)

ELISA / Immunoassays

酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、通常はマイクロプレート形式により、特定のタンパク質量の測定に使用されます。その結果は多くの場合、可視波長域の吸光度により検出されます。

ELISAに関するいくつかのアプリケーションノートをご紹介します:

DNA/RNA定量

DNA/RNA Quantitation

分光光度計やマイクロプレートリーダーで測定したDNAサンプルの260 nmの吸光度を濃度計算に利用できます。DNAの吸光度に基づく定量は、マイクロプレート形式で約0.25 µg/ mL~約125 µg/ mLのサンプルに適用できます。

吸光マイクロプレートリーダーで吸光度を測定する方法については、こちらのアプリケーションノートをご覧ください:

カスタマーストーリー:吸光度プレートリーダーでDNA/RNA合成機をテストする

Absorbance plate reader -DNA/RNA-synthesizers

OligoMaker ApSは、SpectraMax 190リーダーを使用してDNA/RNA合成機をテストしています。

「SpectraMax 190は、自社製のDNA/RNA合成機のテストの重要なステップに使用されています。」

— Karl Ross-Petersen

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エンドトキシンアッセイ

Endotoxin Assays

混入物のモニタリングは製薬業界および医療機器業界の製造工程における重要なステップです。頻度の高い混入物であるエンドトキシンは、発熱、炎症、頭痛、悪心、さらには死亡を引き起こすことがあります。幸いなことに、エンドトキシンは濁度測定または比色分析により容易にモニタリングできます。

以下のアプリケーションノートで、比色エンドトキシンアッセイの基本的なセットアップについてご紹介します:

酵素カイネティクス、細菌/微生物の増殖

Enzyme Kinetics, Bacterial / Microbial Growth

多くの生物学的実験では、長期に渡る(時間、日、週)細胞増殖のモニタリングや酵素的変化の測定が必要です。

当社の機器とソフトウェアを用いたカイネティックアッセイのセットアップについて、アプリケーションノートをいくつかご紹介します:

カスタマーストーリー:バイオフィルム研究に使用されている吸光度プレートリーダー

Absorbance plate readers used in biofilm research

ルーヴァン・カトリック大学は、バイオフィルムとの戦いに役立てるため、当社のSpectraMax吸光およびマルチモードリーダーを使用しています。

UCLのWafi Siala氏は、「SpectraMax Mシリーズは、6から384ウェルまで、マイクロプレートのサイズを豊富に取り揃えていることも大きな利点です」と語っています。

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微量アプリケーション

Micro-volume Application

多くのタイプのサンプル定量は、キュベットやマイクロプレートでの吸光測定により行われます。しかし、物質がわずかしかない場合や、サンプルが貴重な場合は、非常に低容量のサンプルを定量する必要があります。わずか2 µL、さらには0.5 µLという低容量で定量できる機器と付属品が利用できます。

微量機器およびテクニックについての詳細は以下をご覧ください:

光学密度(OD)測定

Optical Density (OD) Measurements

UV/VIS分光光度計とマイクロプレートリーダーは、ビーム形状が基本的に異なります。分光光度計では、サンプルを水平方向の 1 cmの光路でキュベットやチューブを通して測定するため、吸光係数に基づいた測定が容易です。マイクロプレートリーダーは、垂直な光ビームであるため、光路長は各ウェルの液量に依存します。モレキュラーデバイスPathCheck®テクノロジーは、この問題を解決しました。本技術は、光学密度(OD)測定値を自動的に1 cmの光路長に補正します。

以下のアプリケーションノートにはPathCheckテクノロジーの原理と利用が記載されています:

タンパク質定量(BCA、Bradford、Lowryアッセイ)

Protein Quantitation (BCA, Bradford, Lowry assays)

タンパク質濃度は、直接的にはUV分光光度計で280 nmの吸光度を用いて測定し、間接的にはBCAやブラッドフォードアッセイなどの比色法を用いて測定可能です。

タンパク質定量に関するいくつかのアプリケーションノートをご紹介します: