Application Note EarlyTox Cell Integrity Kit を用いた
細胞生存率および細胞毒性の測定
- 高いシグナル強度により、短時間の露光で迅速な結果を取得可能
- さまざまな細胞種に対応する設計
- 画像取得から解析までを1つのシステムでシームレスに実行
PDF版(英語)
はじめに
EarlyTox Cell Integrity Kitは、生細胞と死細胞の識別を簡便に行うために最適化された試薬セットです。本キットは、さまざまな処理が細胞の生存率に与える影響を測定したり、アポトーシスやネクローシスを含む多様なメカニズムによる毒性効果を評価したりするために使用できます。接着細胞および非接着細胞の両方に対応しており、シンプルなワークフローと高い試薬性能により、ハイスループットスクリーニングにも適しています。
このアッセイでは、2種類のDNA結合性色素を使用します。細胞膜を通過するLive Red Dye(生細胞用赤色色素)と、細胞膜を通過できないDead Green Dye(死細胞用緑色色素)です。Live Red Dye は、細胞膜の完全性にかかわらずすべての細胞の核に取り込まれ、明るい赤色の蛍光シグナルを発します。一方、Dead Green Dye は、膜が損傷した死細胞のみに取り込まれ、明るい緑色の蛍光シグナルを発します(図1)。これにより、イメージングシステムで検出される蛍光シグナルに基づいて、生細胞と死細胞を容易に識別することができます。
図1. EarlyTox Cell Integrity Kit アッセイの原理 本アッセイでは、2種類の色素の特性により、生細胞と死細胞を識別することができます。Live Red Dye はすべての細胞に取り込まれ、核を赤く染色します。一方、Dead Green Dye は膜が損傷した死細胞のみに取り込まれ、核を緑色に染色します。赤色蛍光のみを示す細胞は生細胞として、赤色と緑色の両方の蛍光を示す細胞は死細胞として検出・識別されます。
SpectraMax® MiniMax™ 300 イメージングサイトメーターと SoftMax® Pro ソフトウェアは、EarlyTox Cell Integrity Kit を補完する包括的なイメージングおよびデータ解析パッケージを提供します。本装置の2色蛍光イメージング機能と、ソフトウェアの細胞解析機能を活用することで、96ウェルプレートにおける細胞生存率を5分以内に評価することが可能です。
EarlyTox Cell Integrity アッセイのセットアップ
HeLa細胞を、384ウェルの黒色側壁・透明底マイクロプレートに1ウェルあたり5,000細胞の密度で播種しました。細胞を24時間培養して接着・増殖させた後、各ウェルに細胞毒性化合物を添加しました。化合物処理から24時間後、製品添付のプロトコールに従って EarlyTox Cell Integrity Kit を用いて細胞生存率を評価しました。このアッセイはホモジニアスフォーマットで実施可能であり、培地の除去や洗浄といったステップを省略できるため、細胞の損失や結果のばらつきを抑えることができます。また、培地や試薬によるバックグラウンドを低減するために、オプションでマスキング試薬を使用することも可能です。
結果
細胞は SpectraMax MiniMax 300 イメージングサイトメーターを用いて撮影され、緑(541 nm 発光)および赤(713 nm 発光)のチャンネルで取得されました(図2A)。画像内のすべての細胞核は、赤色チャンネルにおいてオブジェクト認識のサイズおよびしきい値を設定することで自動的に識別されました。細胞は、ソフトウェアの「分類(Classification)」機能を使用して、生細胞または死細胞としてカウントされました。この機能により、赤色のみで染色された核と、赤色および緑色の両方で染色された核を区別することができます(図2B)。ソフトウェアから出力される詳細なパラメーターには、各ウェルにおける生細胞の割合などが含まれます。IC₅₀カーブは、SoftMax Pro ソフトウェアの4パラメーターカーブフィット機能を用いて作成されました(図3)。
図2. 未処理および化合物処理された HeLa 細胞の解析 A. 未処理の細胞(左パネル)は、ほとんどが生細胞であり、赤色蛍光で核が染色されています。中濃度の化合物を処理した場合(中央パネル)では、生細胞と死細胞が混在しています。高濃度の化合物を処理した場合(右パネル)では、ほとんどの細胞が死細胞となり、核が赤色および緑色の両方で染色されています。画像はすべて SpectraMax MiniMax 300 イメージングサイトメーターで取得されました。 B. SoftMax Pro ソフトウェアの「分類(Classification)」機能を使用して、細胞は生細胞(赤色マスク)または死細胞(青色マスク)として識別されました。
図3. 細胞毒性化合物に対する IC₅₀ カーブ HeLa細胞にアニソマイシン(赤い円)またはスタウロスポリン(青い四角)を処理しました。結果は、SoftMax Pro ソフトウェアの4パラメーターカーブフィット機能を用いてプロットされました。アニソマイシンのIC₅₀は3.3 µM、スタウロスポリンのIC₅₀は0.53 µMであり、いずれも文献値と一致していました。
結論
SpectraMax MiniMax イメージングサイトメーターと併用することで、EarlyTox Cell Integrity Kit は蛍光イメージングによって生細胞と死細胞の集団を簡便に判別する手段を提供します。さまざまな細胞メカニズムを介した細胞毒性を容易にモニタリングおよび定量化することができます。SoftMax Pro ソフトウェアは、生細胞と死細胞の染色パターンを識別し、結果を自動的にプロットすることで、解析にかかる時間を短縮します。
注文情報 | ||
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試薬 | 商品説明 | 品番 |
EarlyTox Cell Integrity Kit | (2) 試薬バイアル(赤、緑各1本) ** 96または384ウェルプレート(2枚)分 |
R8213 |
EarlyTox Cell Integrity Kit | (2) 試薬バイアル(赤、緑各1本) ** 96または384ウェルプレート(10枚)分 |
R8214 |
EarlyTox Live Green Dye | (1)試薬バイアル ** 96または384ウェルプレート2枚分 |
R8215 |
EarlyTox Dead Green Dye | (1)試薬バイアル ** 96または384ウェルプレート2枚分 |
R8216 |
EarlyTox Live Red Dye | (1)試薬バイアル ** 96または384ウェルプレート2枚分 |
R8217 |
以下のモレキュラーデバイス システムと互換性があります。
SpectraMax® MiniMax™ 300イメージングサイトメーター
ImageXpress®マイクロXLSシステム
ImageXpress®ウルトラシステム
PDF版(英語)