Application Note CatchPoint SimpleStep ELISAキットで
ELISA結果をより迅速に

はじめに

Kristen Pennington｜アソシエイトサイエンティスト｜Abcam
Jonathan Wagner｜シニアリサーチアソシエイト｜Abcam
Yen-Wen Chen｜シニアサイエンティスト｜モレキュラーデバイス
Cathy Olsen｜Sr. アプリケーションサイエンティスト｜モレキュラーデバイス

従来のサンドイッチELISAでは、標的タンパク質に対する抗体ペアを使用します。1つはマイクロプレートのウェルにコートされたキャプチャ抗体、もう1つは通常、ペルオキシダーゼ（HRP）やアルカリホスファターゼ（AP）などの酵素と結合した検出抗体です。使用する基質に応じて、マイクロプレートリーダーで吸光度または蛍光シグナルとして結果を測定できます。

一般的なELISAプロトコールは、複数のインキュベーションと洗浄ステップが必要で、時間がかかります。AbcamのSimpleStep ELISA®テクノロジーは、免疫親和タグがあらかじめコートされたマイクロプレートウェル内で、抗体-アナライトのサンドイッチ複合体を一度のステップで形成・捕捉することで、アッセイ時間を大幅に短縮します。このプロトコールでは、シグナルの発現前に1回のインキュベーションと1回の洗浄ステップのみで済み、わずか90分で完了します（図1参照）。

CatchPoint® SimpleStep ELISA®では、蛍光検出用色素「Stoplight Red」を使用して、蛍光ベースの検出を行います。この蛍光アッセイは、定量の上限および下限を拡張し、より広いダイナミックレンジを提供します。また、蛍光シグナルは高い安定性を持ち、基質添加後10分から1時間以上の間で検出が可能です。

材料

• CatchPoint SimpleStep ELISAキット
  ◦ヒト Pro-Collagen I alpha 1 ELISA キット, 蛍光 (Abcam)
  ◦ヒトアポリポ蛋白質A-IV蛍光ELISAキット (Abcam)
  ◦ヒト TNF アルファ ELISA キット, 蛍光 (Abcam)
  ◦マウス ヘムオキシゲナーゼ 1 ELISA キット, 蛍光 (Abcam)
  ◦マウス MCP3 ELISA キット, 蛍光 (Abcam)
  ◦マウス Pro-Collagen I alpha 1 ELISA キット, 蛍光 (Abcam)
• SimpleStep ELISAキット
  ◦ヒト プロコラーゲン I アルファ 1 ELISA キット (Abcam)
  ◦ヒトアポリポ蛋白質A-IV ELISAキット (Abcam)
  ◦ヒトTNFアルファELISAキット (Abcam)
  ◦マウス ヘムオキシゲナーゼ 1 ELISA キット (Abcam)
  ◦マウス MCP3 ELISA キット (Abcam)
  ◦マウス プロコラーゲン I アルファ 1 ELISA キット (Abcam)
• モレキュラーデバイスマイクロプレートリーダー
  ◦SpectraMax® iD5 マルチモードマイクロプレートリーダー 
  ◦SpectraMax® i3x マルチモードマイクロプレートリーダー
  ◦SpectraMax® M4およびM5マルチモードマイクロプレートリーダー
  ◦FilterMax™ F5 マルチモードマイクロプレートリーダー

方法

各キットに付属のプロトコールに従って標準曲線を作成しました。比色シグナルの発色は10分後に停止しました。蛍光シグナルは、Stoplight Red基質添加後10分および1時間の時点で測定され、停止液の添加は不要です。

同一アッセイプレートから得られた蛍光シグナルは、SpectraMax iD5プレートリーダーで測定されました（SpectraMax iD3も同等の蛍光性能を備えており、使用可能です）。また、SpectraMax i3x、SpectraMax M4およびM5、FilterMax F5 マルチモードマイクロプレートリーダーでも測定を行いました。SpectraMax M4は、吸光度および蛍光検出においてSpectraMax M5と同一の性能仕様を有しています。データの取得と解析には、最適化された機器設定を含む事前設定済みのSoftMax® Proソフトウェアプロトコールを使用しました（表1参照）。

表1. CatchPoint SimpleStep ELISA検出用 SpectraMaxプレートリーダー設定 SpectraMax iD5およびSpectraMax M5プレートリーダーはモノクロメーター光学系を採用しているため、設定時に光学構成を選択する必要はありません。SpectraMax i3xプレートリーダーは、モノクロメーターまたはフィルターを含む検出カートリッジのいずれかを使用できますが、CatchPoint SimpleStep ELISAの検出にはモノクロメーターで十分です。FilterMax F5プレートリーダーはフィルターのみで検出を行います。

結果

図2に示すデータは、蛍光CatchPoint SimpleStep ELISAキットが、吸光度ベースのSimpleStep ELISAキットと比較して、より高いシグナルウィンドウと拡張されたダイナミックレンジを提供することを示しています。結果は使用したアッセイキットによって異なりますが、CatchPoint SimpleStep ELISAキットのシグナル／バックグラウンド比（S/B）は、少なくとも1時間にわたり安定していました。シグナル発色反応を停止するステップが不要なため、蛍光キットではユーザーがアッセイに応じて時間とシグナルの最適化を行うことができ、柔軟な測定が可能です。

CatchPoint SimpleStep ELISAやその他の蛍光アッセイの結果を異なる蛍光マイクロプレートリーダーで検出する場合、得られるシグナルの大きさには差が生じることがあります。図3に示すように、シグナル／バックグラウンド比でプロットすることで、すべてのプレートリーダーでほぼ同一のグラフが得られ、いずれのプレートリーダーでもCatchPoint SimpleStep ELISAの蛍光シグナル検出に適していることが確認されました。

結論

CatchPoint SimpleStep ELISAキットは蛍光ベースであり、吸光度ベースのSimpleStep ELISAキットと比較して、シグナル強度とダイナミックレンジが向上しています。CatchPoint SimpleStep ELISAキットは、従来のELISAと比較して結果取得までの時間を約3分の1に短縮できる90分プロトコールを提供します。これらのキットは、SpectraMaxおよびFilterMaxプレートリーダーで検証されており、SoftMax Proソフトウェアの事前設定プロトコールを使用することで、簡便かつ迅速にアッセイの検出と結果取得が可能です。

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