アプリケーションノート

ライブセルタイムラプスイメージングによる
アポトーシス各ステージのモニタリング

利点

  • 完全な環境制御による生細胞タイムラプスイメージングの実施
  • 表現型の変化をリアルタイムでモニター
  • 1つの解析モジュールで複数の表現型を解析
  • カイネティックデータのレポートを自動生成

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はじめに

アポトーシスの研究は創薬の研究と開発にきわめて重要です。さらにアポトーシスと酸化ストレスのような他の因子との関係を研究することは、アポトーシスの調節異常に起因する疾患を理解するために重要です。早期の細胞死とアポトーシスは、アルツハイマー病、パーキンソン病、および様々な自己免疫疾患と関連しています123。逆に、癌のような疾患は、アポトーシス経路の異常をもたらす突然変異が引き起こす制御されない細胞増殖によって定義されます。
細胞ベースのアッセイは、薬物の細胞毒性作用を明らかにし、その作用機序を研究するための効率的なモデルです。さらに、薬物誘発性細胞死の背後にある機構を同定し、アポトーシスをモニタリングすることにより、薬剤の修飾や意図しない毒性の予防が可能になります。生細胞タイムラプスアッセイはこの点において、エンドポイントアッセイと比較して明らかな利点があります。一時的事象の評価だけでなく、化合物処理よる表現型変化を経時的にモニタリングできるからです。また、エンドポイントアッセイを行うための適切な時間、および化合物試験のための適切な濃度範囲を明らかにすることにより、アッセイの最適化にも役立ちます。
HeLa細胞に対する抗癌化合物の細胞毒性効果を研究するために2つのアポトーシスアッセイを実施しました。
ImageXpress® Pico自動細胞イメージングシステムを用いてタイムラプスイメージングを行いました。環境制御ユニットを用いれば、CellReporterXpress™ 画像取得・解析ソフトウェアからCO2、O2、温度、湿度をすべて制御でき、生細胞に最適な環境を維持することが出来ます。

材料

  • HeLa 細胞
  • HeLa 培地 (MEM, 10% FBS,1% Pen/Strep)
  • ライブセルイメージング培地(Fluorobrite DMEM, 5% FBS, 1% L-Glutamine, 1% Pen/Strep)
  • 96 ウェルマイクロプレート(Greiner, cat. #655090)
  • 384ウェルマイクロプレート(Corning Falcon, cat. #353962)
  • スタウロスポリン(Millipore Sigma, cat. #S4400)
  • パクリタキセル (Millipore Sigma, cat.#T7402)
  • EarlyTox Nucview488 Caspase 3/7 アッセイキット (Molecular Devices, cat.#R8350)
  • エチジウムホモダイマーIII(Molecular Devices, EarlyTox Live/DeadAssay Kit cat. #R8340)
  • Hoechst 33342 (Invitrogen)
  • CellROX™ Deep Red 蛍光試薬(ThermoFisher Scientific, cat. #C10422)
  • ImageXpress Pico 自動細胞イメージングシステムおよび CellReporterXpress画像取得・解析ソフトウェア (MolecularDevices)

方法

セルヘルスアポトーシスアッセイ

HeLa細胞を384ウェルのマイクロプレート中に5,000細胞/ウェルの密度で播種し、37°C、5% CO2で一晩インキュベートしました。次いで、細胞をHeLa培地中でHoechst33342 (3μM)で45分間染色しました。インキュベーション後、Hoechst溶液を除去し、2×NucView 488 Caspase 3/7溶液(最終濃度5μM)、エチジウムホモダイマーIII(EthD-III、最終濃度1μM)、および試験する化合物を添加しました。この第2の染色溶液および化合物の希釈液は、フェノールレッドを含まないライブセルイメージング培地で調製しました。化合物処理には、スタウロスポリンおよびエトポシドについてそれぞれ10μMおよび100μMで開始し、1:2の希釈系列を作成しました。

酸化ストレスアポトーシスアッセイ

HeLa細胞を、8,000細胞/ウェルで96ウェルのマイクロプレートに播種し、37°Cおよび5% CO2で一晩インキュベートしました。次いで、培地を各ウェルから除去し、3μM Hoechst33342および5μM CellROX Deep Red染色溶液を各ウェルに添加しました。40分間のインキュベーションの後、染色溶液を除去し、温めたDPBSで二回洗浄しました。2×NucView 488 Caspase 3/7溶液(最終濃度5μM)を、10μMから1:2で段階希釈したスタウロスポリンと共にウェルに添加しました。NucView488溶液および化合物の希釈溶液は、ライブセルイメージング培地中で作製しました。

ライブセルイメージング

ImageXpress Pico自動細胞イメージングシステムと環境制御ユニットを用いて、ライブセルイメージングを実施しました。プレートを環境制御カセットに取り付け、これを装置内のステージ上に設置し、周囲光から保護された適切な設定(5% CO2、湿度85%、20% O2、37°C)にて完全な環境制御を実現しました。セルヘルスアポトーシスアッセイでは、2時間毎に画像を捕捉する14時間のライブセルイメージングを行いました。酸化ストレスアポトーシスアッセイでは6時間にわたり1時間毎に画像を撮影しました。両アッセイの画像取得の設定を表1に示します。ライブセルイメージングの間ECセンサーの値が記録され、実験全体を通して環境制御設定のモニタリングおよびQCを可能にします。

表1 セルヘルスアポトーシスアッセイおよび酸化ストレスアポトーシスアッセイの画像取得設定
10倍で1か所撮影の場合384ウェルのマイクロプレート1ウェルの17.63%をカバーし、20倍で4か所撮影の場合96ウェルマイクロプレート1ウェルの5.1%をカバーする。4か所20倍の画像取得では、イメージスティッチング解析プロトコルにより、画像の取得と並行して、シームレスなスティッチングを行った。

画像解析

細胞死の各ステージを進行する際の細胞の健康状態を多波長解析で測定

図1に示すように、CellReporterXpressにプリセットされた細胞スコアリング解析モジュールを用いて、3種類の蛍光色素の分布を測定し、化合物処理後の細胞表現型における異なる変化を定量した。核凝縮とカスパーゼ活性化はアポトーシスの開始における重要なステップです。Hoechst核染色の蛍光強度増加と核の面積減少により核凝縮が確認されました(図2A)。カスパーゼ3/7染色のみ陽性であった細胞を早期アポトーシスとしてスコア化しました(図1)。初期アポトーシスの細胞数は試験した最高濃度のスタウロスポリンでは6時間、最高濃度のエトポシドでは14時間で最大となりました(図2B)。後期アポトーシスは膜透過性の増加とカスパーゼおよびエチジウムホモダイマーIII染色の両方に陽性の細胞の測定により決定しました。壊死細胞はエチジウムホモダイマーIIIのみに陽性の細胞として同定されました。14時間の時点でのカーブフィットを行い、試験化合物の用量反応曲線およびEC50値を求めました(図3)。その結果、細胞生存率の濃度依存的減少がみられ、スタウロスポリンについては0.039μMから1μM、エトポシドについては7.5μMから100μMの間で劇的な減少が見られました。この時点で、スタウロスポリンの最高濃度において、初期アポトーシス細胞の割合の減少が見られた一方で、壊死および後期アポトーシス細胞の増加が確認されました。エトポシドについては7.5~100μMの濃度の細胞は主に初期のアポトーシスにあったことから、多くの細胞を壊死および後期アポトーシスへ移行させるには、タイムコースを延長するか、または化合物濃度を上げる必要があることが示唆されます。

図1 スタウロスポリン(10μM)処理後0,6,14時間のHeLa細胞の代表的な画像と解析マスク画像
CellReporterXpressソフトウェアにプリセットされた細胞スコアリング解析モジュールを用いて、各蛍光チャネルについてアポトーシス表現型の変化を分析した(右列)。生存細胞(ブルーマスク)、カスパーゼ陽性細胞(グリーンマスク)、カスパーゼとEthD‐III陽性細胞(グレーマスク)、EthD‐IIIのみ陽性細胞(赤)を示している。

図2 化合物処理した細胞におけるアポトーシスのモニタリング
様々な濃度のスタウロスポリンとエトポシドで処理後14時間にわたり、アポトーシスのステージをリアルタイムでモニターした。画像は2時間ごとに撮影した。
A.Hoechst33342核染色を用いて核凝縮を測定した。
B.Hoechst33342で染色した細胞を、カスパーゼ3/7およびエチジウムホモダイマーIII染色についてスコア化し、細胞死の段階を示した。

図3 スタウロスポリンおよびエトポシド処理後14時間時点での用量反応曲線
以下の四つの曲線についてEC50値を算出した。
%生存細胞 (EC50値:スタウロスポリン0.044μM、エトポシド48.61μM)
%初期アポトーシス細胞 (EC50値:スタウロスポリン 0.029μM、エトポシド 25.84μM)
%後期アポトーシス細胞 (EC50値:スタウロスポリン 0.047μM、エトポシド 61.81μM)
%壊死細胞 (EC50値:スタウロスポリン 0.238、エトポシド 未到達)

多波長解析により酸化ストレスとアポトーシスを同時に測定

タイムラプス解析を用いて細胞応答を記録することは、最適なエンドポイントや化合物濃度を決定するために有用です。また、一過性の事象を含む、同一ウェル中の複数の生物学的事象の測定に役立ちます。図4に示すように、多波長を用いた細胞スコアリング解析により、3つの異なる細胞集団を同定しました。酸化ストレスとアポトーシスの最大応答はスタウロスポリン投与量に依存しました。高濃度のスタウロスポリンでは、ROSレベルは初期にピークに達し、カスパーゼ3/7活性化は3から4時間の間に増加し、その後プラトーに達しました。低濃度のスタウロスポリンではROS陽性細胞とCellROX蛍光強度の段階的増加がアポトーシスの有意な誘導なしに認められました(図5および図6)。エンドポイントでこのアッセイを実施するにあたり、スタウロスポリン処理後6時間などと選択することができます。

図4 スタウロスポリンで処理したHeLa細胞の20X画像と解析マスク画像
5μMのスタウロスポリン処理後0~6時間の細胞画像と解析マスク画像を示す。
核(ヘキスト33342、ブルー)、カスパーゼ3/7(NucView488、グリーン)、ROS(CellRox Deep Red、ピンク)。3チャンネル細胞スコアリングを行い、各時点での健常細胞(ブルー)、酸化ストレスのみ陽性(ピンク)、カスパーゼ3/7のみ陽性(グリーン)、および酸化ストレスとカスパーゼ3/7の両方陽性(グレー)の細胞の数と割合を測定した。

図5 波長3(CellROX Deep Red)の平均積分蛍光強度のカイネティックグラフ
10 μMおよび5 μMに代表される高濃度のスタウロスポリンでは、CellROX Deep Red染色の蛍光強度はおよそ3時間~4時間でピークに達し、その後プラトーに達した。低濃度のスタウロスポリンではCellROX Deep Red染色は観察したタイムコースを通して徐々に増加した。

図6 スタウロスポリンで6時間処理したHeLa細胞における酸化ストレスとアポトーシスの用量反応曲線
異なる表現型を示した細胞群の3つの曲線におけるEC50値を計算した:
酸化ストレスのみ陽性の細胞:0.361 μM
酸化ストレスとアポトーシスに陽性の細胞:0.314 μM
アポトーシスのみ陽性の細胞:0.547 μM

まとめ

この実験が示すように、完全な生細胞環境条件下でタイムラプスイメージングを行うことにより、細胞の健康状態を示す複数のマーカーを同時にリアルタイムでモニタリングすることができます。環境制御ユニットを搭載したImageXpress Pico自動細胞イメージングシステムにより、細胞死の複数の段階を経て進行するHeLa細胞の経時的変化を観察することができました。さらに今回の実験は、複数のマーカーを用いてアポトーシス経路の様々な段階にある細胞を解析するために用いたCellReporterXpress画像取得・解析ソフトウェアに搭載された3つの蛍光チャンネルを用いた細胞スコアリング解析モジュールの有用性を示しています。

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参考文献

  1. J.M. Brown, L.D. Attardi (2005). The role of apoptosis in cancer development and treatmentresponse. Nat Rev Cancer 5(3):231-7.
  2. D.W. Dickson (2004). Apoptotic mechanisms in Alzheimer neurofibrillary degeneration: cause oreffect? J Clin Invest 114(1):121-30.
  3. W.G. Tatton, R. Chalmers-Redman, D. Brown, N. Tatton (2003). Apoptosis in Parkinson’s disease:signals for neuronal degradation. Ann Neurol 53(suppl 3): S61-70.