アプリケーションノート

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーを用いた微量サンプルのハイスループットなDNAと タンパク質の検出

利点

  • 190 ~ 1000 nm の波長範囲で定量実験の幅が広がります
  • SpectraDrop 微量サンプル測定プレートを用いることで、感度を維持しながらサンプル容量を最小限に抑えられます
  • SoftMax Pro ソフトウェアにプリセットされたプロトコルにより、実験を単純化し、迅速に進められる

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はじめに

核酸とタンパク質の定量は、遺伝学と分子生物学において、多くの高度なアッセイの初期段階で行われる重要な測定です。それらの定量のために様々な手法が開発されてきましたが、最も一般的に利用されている技術はやはり、紫外光(UV)分光測定法です。すべての分子が特定の波長範囲の光を吸収または透過するということが分光測定法の原理であり、サンプルのモル吸光係数と光路長がわかっていれば、分子の濃度はランベルト・ベールの法則(式1)を用いて算出できます。

A = ε cL

式1:ランベルト・ベールの法則は、吸光度(A)は測定する分子のモル吸光係数(ε)、濃度(c)、測定に用いた光路長(L)の積に等しい、ということを表します。この式を変形すると、吸光度から濃度を求めることができます。
核酸の定量は確立された技術であり、その基本原理は当初からほとんど変わっていません。
核酸の濃度を求めるにはサンプルの260 nmの吸光度を測定し、230 nm と280 nm の波長で補助的な測定を行ってサンプルの純度を確認します。

タンパク質もUV 分光測定法で定量できますが、より正確な比色定量法を利用することもできます。UV 分光測定法は280 nm の光を吸収するトリプトファンの芳香族アミノ酸としての性質を利用していますが、アミノ酸配列中のトリプトファン残基の数が多様であることから、算出されたタンパク質濃度に誤差がある場合があります。その代わりに、ビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイではアミノ酸配列の構成や長さとは無関係にタンパク質濃度を測定できます。このアッセイは、アルカリ性環境下でペプチドが銅イオンに配位するビウレット反応を利用しており、キレート錯体の形成によって呈色される紫色の濃さを測定します。
SpectraMax® ABS Plus は、このようなタイプの定量アッセイに理想的な、コンパクトな紫外・可視光吸光マイクロプレートリーダーです。このアプリケーションノートでは、SpectraMax ABS Plus とSpectraDrop™ 微量サンプル測定プレートおよびSoftMax®Pro ソフトウェアとを組み合わせ、二本鎖DNAとウシ血清アルブミン(BSA)タンパク質を定量する方法をご紹介します。

 

材料

  • SpectraMax ABS Plusマイクロプレートリーダー(Molecular Devices #ABS Plus)
  • SpectraDrop微量サンプル測定プレート(Molecular Devices #0200-6262)
  • 96ウェル透明平底ポリスチレンマイクロプレート(Greiner Bio-One #655101)
  • UltraPure™ 仔ウシ胸腺 DNA溶液(ThermoFisher Scientific #15633019)
  • Pierce BCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher Scientific #23225)
  • Pierce™ ウシ血清アルブミン標準アンプル、2 mg/mL(ThermoFisher Scientific #23209)
  • UV-Star® 96ウェルマイクロプレート(Greiner Bio-One #655801)

 

方法

DNA の定量

UltraPure 仔ウシ胸腺DNA を1 × PBS を用いて希釈し、1000 ng/μL から2 倍の希釈系列を作製しました。2 μL または4 μL のサンプルをSpectraDrop 微量サンプル測定プレート(64 ウェルタイプ)にピペットで分注し、それぞれ光路長0.5 mm または1.0 mm のカバースリップで覆いました。SoftMax Pro ソフトウェアで、プリセットされたプロトコル「SpectraDrop DNA Quantitation」を開き、所定の条件でプレートを読み取りました。また、測定データにlog-log(両対数)カーブフィットを適用し、検量線を作成しました。さらに、すべての濃度について220 nm から350 nm までの範囲を4 nm 刻みでスペクトルを測定し、サンプルの純度を評価しました。

タンパク質の定量

BCA アッセイキットのプロトコルに従い、BSA を希釈して、検量線を作成しました。タンパク質標準溶液25 μL とBCA 試薬200 μLを96 ウェルプレートに分注し、37℃で30分間インキュベートしました。SoftMax Proソフトウェアにてプリセットされたプロトコル「BCA」を開き、所定の設定で562 nm の吸光度を測定しました。データにQuadratic(二次式)カーブフィットを適用し、SoftMax Proソフトウェアを用いて検量線を作成しました。

結果

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーは、微量測定プレートでも標準のマイクロプレートでも二本鎖DNA の濃度を定量できました。SpectraDrop とプリセットされたプロトコルを使用すれば、SpectraMax ABSPlus によってわずか4 μL のサンプルを用いて2 ng/  L のDNA を検出でき、A260/A280比およびA260/A230 比などの重要なパラメータを自動的に算出できました(図1、図2)。
さらにスペクトルスキャンによって、サンプルに不純物がないことを示すことができました(図3)。

また、SpectraMax ABS Plus は、マイクロプレートでもDNA を定量できます。UV 透過マイクロプレートを使用すると、わずか0.02ng/μL のdsDNA を測定できました(図4)。

最後に、SpectraMax ABS Plus は、BCA アッセイを利用したタンパク質サンプルの定量にも使用できます。所定のプロトコルに従い、BSA の標準サンプルを測定したところ、アッセイキットの文献に記載されている検量線と同様の検量線を作成できました(図5)。

図1 SpectraDrop 微量サンプル測定プレートを用いた二本鎖DNA の定量
SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーとSpectraDrop 微量サンプル測定プレートを用いて二本鎖DNA サンプルを測定しました。光路長1.0 mm(青)のカバースリップでは2 ng/μL まで、0.5 mm(赤)のカバースリップでは4 ng/μL までのDNA を定量性良く検出できました。

 

図2 SoftMax Proソフトウェアのプリセットされたデータテーブル
ソフトウェアにプリセットされたプロトコルは、未知のサンプルの吸光度比と濃度の自動計算が組み込まれており、DNA の定量実験を単純化しています。

 

図3 スペクトルスキャンによるサンプル純度の評価
サンプルの純度を評価するため、スペクトルスキャンを行いました。4 種類の濃度のDNA サンプルを測定したところ、260 nm のピークのみが識別され、高純度な二本鎖DNA であることが示されました。

 

図4 96 ウェルマイクロプレートおよびキュベットを用いた二本鎖DNA の定量
二本鎖DNA の希釈系列は、キュベットでもマイクロプレートでも0.50 ng/μL から250 ng/μL の範囲で検出可能でした。また、いずれの希釈系列でも高い直線性が得られました。

 

図5 BCA アッセイ検量線
SpectraMax ABS Plus はBCA アッセイによりBSA の標準サンプルを検出できました。SoftMax Pro ソフトウェアを用いてデータにQuadratic(二次式)カーブフィットを適用し、頑健性の高い検量線(r2 = 1.000)が得られました。

 

結論

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーは、キュベットやマイクロプレートなどの様々なフォーマットで核酸やタンパク質を定量できる、コンパクトで柔軟性のあるマイクロプレートリーダーです。SpectraDrop 微量サンプル測定プレートと組み合わせて使うことで、1 回の測定で、最大64 種類のサンプルをわずか2 μL の容量で定量できます。また、SoftMax Pro ソフトウェアのプリセットされたプロトコルにより実験を最適化でき、迅速に結果が得られます。

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