SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーを 用いたエンドトキシンのモニタリング

アプリケーションノート

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーを用いたエンドトキシンのモニタリング

利点

  • 0.001 EU/mL までの高感度のエンドトキシン検出
  • データ計算と標準曲線のプロットを自動的に行うソフトウェアプロトコル
  • 小さなデータのばらつきと高い相関性

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーについて問い合わせる

はじめに

汚染物質のモニタリングは、製薬および医療機器業界において製造プロセスの重要なステップとなっています。エンドトキシンによる汚染は高い頻度で発生し、発熱、炎症、頭痛、嘔吐を引き起こします。重症化して死をもたらす可能性すらあります。エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁に存在する物質で、その検出には高感度かつ特異性の高いLimulus Amebocyte Lysate(LAL)試験が日常的に用いられています。

カブトガニLimulus polyphemus から得られるLAL は、エンドトキシン存在下で、酵素に仲介されるカスケード反応により凝固します。この性質を利用することで、ゲル凝固試験、比濁試験、あるいは比色試験での定量が可能となっています。

Lonza 社のPYROGENT™-5000 Kinetic Turbidimetric LALAssay は、LAL の凝固を経時的な濁度の増加としてモニターするカイネティックアッセイです。濁度の増加はプレートリーダーを用いて吸光度のカイネティック測定をすることで確認できます。エンドトキシンが最初に多く存在するほど、Onset time(= 反応時間:試料の吸光度が初期値から一定量まで増加するのに要する時間)は短くなります。エンドトキシン標準濃度に対するOnset timeの検量線を用いて、試料中に存在するエンドトキシンの量を算出します。このアッセイにより0.001 – 10 endotoxin unit (EU)/mL の範囲のエンドトキシンを定量することが可能です。

 

材料

  • PYROGENT-5000 Kinetic Turbidimetric LAL Assay(Lonza cat. #N383(100 テスト), N384(200 テスト)
  • 96-well clear LAL Reagent Grade™ Multi-well Plates(Lonza cat. #25-340)
  • Pyrogen-free Dilution Tubes(Lonza cat. #N207)
  • LAL Reagent Water(Lonza cat. #W50-100)
  • SpectraMax® ABS Plus マイクロプレートリーダー(Molecular Devices cat. #ABS PLUS)

 

方法

試薬の再構成

  • コントロールスタンダードエンドトキシン(CSE)を、キットの分析証明書に記載された容量のLAL 試薬水(LRW)で再構成し、100 EU/mL の溶液とした後、バイアルを15 分間ボルテックスしました。
  • キットの指示に従ってLAL 試薬をLAL 再構成バッファーで再構成しました。

標準曲線

  • 100.0 EU/mL エンドトキシン標準溶液0.1 mL をLAL 試薬水0.9 mL に添加し、10.0 EU/mL エンドトキシン標準溶液を調製しました。
  • エンドトキシン溶液をLRW で10 倍希釈し、10 EU/mL から0.001 EU/mL までの1:10 希釈系列を作成しました。
  • 各濃度のエンドトキシン標準溶液100 μL をLAL ReagentGrade Multi-well Plate にトリプリケートで分注しました。
  • 37 ℃に設定したSpectraMax ABS Plus でMulti-well Plateを10 分間インキュベートしました。
  • 100 μL のLAL 試薬を、エンドトキシン標準溶液が入っているそれぞれのウェルに添加しました。表1 に示す測定条件でSoftMax® Pro ソフトウェアにプリインストールされているKinetic Turbidimetric LAL Protocol を用いて、カイネティック測定をすみやかに開始しました。

表1 SpectraMax ABS Plus によるカイネティック比濁法の測定条件。
SoftMax Pro ソフトウェアのKinetic Turbidimetric LAL protocol は、最適な条件が設定されており、自動的に解析が行われる。(MeanValue = Mean onset time)

データ解析

SoftMax Pro ソフトウェアの[Data Reduction]ダイアログで、以下のパラメーター以外はデフォルト値を用いました。

  • Set first data point to zero
  • Kinetic Reduction:Onset time, Onset OD 0.03

Onset time の平均をソフトウェアで計算し、エンドトキシン標準濃度に対してプロットしました。

結果

0.001 – 10 EU/mL の標準溶液のカイネティック測定の結果を図1 に示します。Onset time は赤色の縦線で表示しました。各標準溶液のOnset time の平均をSoftMax Pro ソフトウェアにより標準濃度に対してプロットしました(図2)。

図1 標準溶液のカイネティック測定結果。赤色の縦線はOnset time を示す。
(Onset OD = 0.03)

図2 エンドトキシン標準曲線。エンドトキシン標準濃度に対するOnset Time の平均値を、SoftMax Pro ソフトウェアのlog-log curve fit を用いてプロットした。(n = 3、r2 = 0.996)

PYROGENT-5000 アッセイのマニュアルによると、性能要件は以下のとおりです。

  • 算出される検量線の相関係数(r)の絶対値は0.980 以上であること。
  • レプリケートの反応時間の変動係数(CV%)は10% 未満であること。

SpectraMax ABS Plus を使用して作成した標準曲線ではr =0.998 と、要件値である0.980 を上回りました。また、SoftMax Pro ソフトウェアを用いて計算された標準溶液のトリプリケートの変動係数は、いずれも10% 未満でした(表2)。SpectraMax Plus 384 マイクロプレートリーダーでも同等の結果が得られました。

表2 SoftMax Pro ソフトウェで計算された標準溶液に関するデータ。各標準溶液の変動係数は10% 未満であり、PYROGENT-5000 アッセイキットのマニュアルに示されている再現性要件を満たす。

 

結論

Limulus Amebocyte Lysate(LAL)試験は、多くの医薬品やデバイスのエンドトキシン濃度を測定する方法として、米国薬局方(USP)にて承認されています。定量性の高いKinetic PYROGENT-5000 Assay は、研究室でエンドトキシンによる汚染の程度をテストするためのハイスループットな方法として提供されています。また、0.001 EU/mL までの微量なエンドトキシンを検出することができ、様々なサンプルのエンドトキシンレベルを確実に定量するための効果的な方法です。

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーとSoftMax Pro ソフトウェア、そしてKinetic PYROGENT-5000 Assay は、SoftMax Pro ソフトウェアにプリインストールされたプロトコルにより結果が自動的に計算されるため、エンドトキシン試験のための合理的なワークフローを提供します。

SpectraMax ABS Plus マイクロプレートリーダーについて問い合わせる