カスタマーストーリー

国立研究開発法人
国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点
がんメタボロミクス研究室 チームリーダー

牧野嶋 秀樹先生 × ImageXpress Micro 4

今回は山形県鶴岡市にある国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点に所属されている牧野嶋先生に、携わられている研究分野と今後の展望について話を聞いた。

がんのメタボローム・代謝研究

「われわれは国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点、がんメタボロミクス研究室のメンバーです。国立がん研究センターの一員として、がんのメタボローム研究、がんの代謝研究を日々、ここ鶴岡で行っています。がんのメタボロームというのは、がん細胞に存在する代謝産物を網羅的に解析することです。そのメタボロームの研究結果を活用・応用することで、がんに対する新しい薬剤や治療法の開発等につながる基礎研究を行っています。」

 

しかし、がんのメタボローム解析が、実際どの程度がんの治療に役立つかということについては現在大きな議論になっている。がんの特異的な代謝が癌細胞内で行われていることは既に解明されているが、それに対する代謝を標的とした分子標的治療薬のような特異的な阻害剤というものは、今後開発が期待されている。がんのメタボローム解析がどのようにがん治療に貢献できるかについて実証するためには、まずがんの代謝標的薬のような阻害薬剤の開発を最初に行い、がんの代謝産物が薬剤処理によりどのように変化するのかメタボローム解析技術を用いることにより、その薬剤が実際にどのような患者さんにどのように作用し役立つのか、ということを解明し実証していくことが求められる。

 

「代謝経路というのはAからB、BからCといった反応で連続的に起こる化学反応です。例えば、患者さんの血液からある代謝産物Aというものが高いと仮定します。また、その代謝産物AをBに変換するXという酵素が存在するとします。そのXに対する阻害薬を見つけられれば、BからCといった代謝経路が止まることによってがん特異的な反応を阻害することができます。そこでさらに、代謝産物AやBをバイオマーカーとして調べることにより、薬剤が有効な患者さんを特定することが可能となり、副作用の少ない新たな治療法が開発できるのです。」

 

現在、国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点では牧野嶋先生の指導の下 、臨床検体を使用した癌のメタボローム研究が行われている。今後がんのメタボローム研究が癌の新規治療開発や根治治療につながることを実証すべく、日々研究が進められている。

 

薬剤の画像解析スクリーニングに貢献する
ハイコンテントイメージングシステム ImageXpress Micro 4

「わたしたちの研究目標は、がん特異的な代謝経路の発見や、がんの代謝に対する阻害薬の開発です。

その中で、抗がん剤の候補化合物は何十万種類も存在しているのですが、その化合物を大量に、また多検体を一度にスクリーニングしていくことが、わたしたちの研究において不可欠です。以前は、他社のイメージングアナライザーを使っていたのですが、やはりハイコンテンツイメージングの画像解析のような、多検体の解析を同時に、また高速にスクリーニングしていく必要があったため、モレキュラーデバイス社のImageXpress Micro 4の導入に至りました。」

ImageXpress Micro 4は、大量の画像の撮影と解析を一度に処理することができるため、薬剤のスクリーニングや薬剤の薬効を調べる研究に貢献している。

「例えば、蛍光タンパク質や他の化合物を利用して代謝を可視化し、数十万ある抗がん剤候補化合物を網羅的にかけていきます。ImageXpress Micro 4の導入により、どの薬剤がどの細胞に効いてるのかを画像により可視化し、さらにはその画像解析を行うことで、取得した画像データを定量化し候補となる薬剤のスクリーニングを行うことが可能となりました。 細胞レベル、あるいは個体レベルで代謝産物を可視化し、細胞の中で局在化しているタンパク質をどのように阻害しているのかについて、今後ImageXpress Micro 4を使用し解明していく予定です。」

ご研究分野の未来像

現在、既に上市されているがん薬剤の中でも様々な画期的治療薬が存在する。しかし、抗がん剤を投与しても、継続的に使用しているとそれが時間と共に、次第と患者に効かなくなっていく。

「例えば、ある患者さんにある抗がん剤を投与していて、それが効かなくなってきたときに、次の抗がん剤や治療法に変更していきます。いわゆる、ファーストラインやセカンドラインなどという標準治療がこれにあたります。ただこのような化学療法は、ご存知の通りとても副作用が強い治療が多いのです。がんの新薬開発を行うことで、患者さんの治療の選択の幅が広がり、副作用の少ない薬剤を患者さんにお届けできればと考えています。 実は、私自身父親をがんで亡くしています。ですので、やはり一人でも多くの患者さんを救えるような、患者さんに希望を与えることができるような、がんの新しい治療の開発やがん研究に日々全身全霊で取り組んでいます。将来的には、がんが完治可能な未来を目指しています。」

 

牧野嶋チーム研究補助員の丸山亜美さんも語ってくれた。 「がんのメタボロームの研究を通してがんの新治療開発に貢献し、ここ鶴岡から世界に発信していけるような成果が出せるよう日々研究に取り組んでいます。」

 

がんのメタボローム技術によって、がん研究が大きく躍進し、副作用などの負担の少ない、画期的ながん治療薬が患者さんに届けられる未来を目指し、国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点、がんメタボロミクス研究室の牧野嶋先生とチームメンバーは日々研究に邁進している。

PROFILE

国立研究開発法人 国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点
がんメタボロミクス研究室 チームリーダー

牧野嶋 秀樹 先生

ご略歴

1974年生まれ。総合研究大学院大学卒業。取得学位は、理学博士。米スローンケタリング記念癌研究所留学、東北大学大学院医学系研究科助教、国立がん研究センター研究員を経て、2016年12月より国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点チームリーダー。近年は、がんのメタボローム研究に従事し、がんの代謝に対する新たな治療法開発に取り組んでいる。

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